2013年12月30日月曜日

2013年Nomuson的映画ランキング

昨年に引き続き、2013年に観た映画をランキングします!
甲乙つけがたいので、某ラジオ番組にならってBEST10とWORST1を選びます。
今年は31作品を映画館で観ました。昨年はたくさん観たので控えようと思ってましたが、抑えられませんな。

では、BEST10!

1. わたしはロランス
 2013年一番響いた作品。24歳のグザヴィエ・ドラン、今後の作品も楽しみ!
2. 風立ちぬ
 12年の1位の「この空の花」と通ずるテーマだった。
3. 悪の法則
 動き出した歯車は止められない。マイケル・ファスベンダー!
4. Tom at the farm
 TIFFで観たグザヴィエ・ドランの新作。上下が狭まる演出が絶妙。
5. 地獄でなぜ悪い
 ハチャメチャなのに感動した!たくさん笑った!
6. ゼロ・グラビティ
 没入感がハンパない。見終えると疲労感が。
7. 言の葉の庭
 ヤンデレなのに、やっぱり感動する。
8. エンド・オブ・ウォッチ
 FPS感たっぷり!
9. かぐや姫の物語
 よく知っている話のはずなのに、感動した。
10. 凶悪
 リリーとピエールの怖い話。実録物だと思うと本当に怖い。


BEST10に入らなかった作品はこちら。(見た順)

・ルビー・スパークス
 ルビーの喪失を乗り越えてほしかった。
・LOOPER
 ジョセフ・ゴードン=レヴィットの次作DON JONも楽しみ!
・二郎は鮨の夢を見る
 一度でいいから食べてみたい。
・ジャンゴ 繋がれざる者
 タランティーノ節炸裂!カッコいいね!
・ドラゴンボールZ 神と神
 新しい話はもう難しいかな。
・HK/変態仮面
 安顕の正しい使い方に嬉しい気持ち。
・めめめのくらげ
 アーティストだから映画も作れちゃうんですよね。
・L.A. ギャングストーリー
 ライアン・ゴズリングが良い味。ノワールは定期的に観たい!
・スーパーヒーロー大戦Z
 初めて戦隊ヒーロー映画を観に行った。楽しかったな。
・探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点
 3も決まったようで、楽しみです。
・きっと、うまくいく
 初インド映画。いい話だった。長かったけれど。
・ロマン・ポランスキー初めての告白
 本人の人生が映画だった。
・選挙2
 日本はおかしな国だとつくづく思います。
・ハングオーバー!!!3
 1,2を見ていなかったけどね。
・欲望のバージニア
 トム・ハーディー兄ちゃんが強い!
・パシフィック・リム
 ありがとう、ギレルモ監督!
・そして父になる
 凶悪を見たせいで、優しいリリーさんがどこか怖い。
・マイマザー
 グザヴィエ・ドランの処女作。お母さんとは仲良くしないとね。
・フィルス
 ジェームズ・マカヴォイの演技がすごい。マシニストと似てるかも。
・SAVE THE CLUB NOON
 風営法問題の改善は応援してるけど、1年前にこの映画を見たかったな。

そして、WORST1はこちら!
・フランケンウィニー
 昨年のダーク・シャドウもそうだったけど、どうも好きになれないティム・バートン作品。なんとなく解決してハッピーエンドになるのが受け入れられないのかもしれない。


来年2月にタマフル映画祭に行くことが決まっていたりと、2014年も映画熱は続きそうです。
では、よいお年を。

2013年12月17日火曜日

田舎の閉塞感の中で起こるスリラー

前記事で紹介したいま一番注目している監督グザヴィエ・ドランの2013年作が Tom at the farm です。10月に開催された東京国際映画祭にて上映されてたので観に行きました!

Tom at the farm

〜あらすじ〜
親友を亡くしたトム(グザヴィエ・ドラン)は、葬儀に参列するため友の実家の農場へ行く。秋風にとうもろこしの葉がざわめく中、隣の家まで数kmかはあるような民家の前に、田舎に似つかわしくない革ジャンを着たトムが降り立つ。
どこか落ち着きのないトムだが、親友の母は唯一の友人の来訪に歓迎していた。だが、我が子がなくなったというのに交際相手から連絡が一切ないと怒っていた。農場には母の他に、親友の兄が居た。兄はトムに対し冷たく接し、自分に従うことが当然かのように命令する。まるで、何か秘密を握っているように。
そして、田舎でトムは翻弄されてゆく……。


未公開作品ですが、いつも通りネタバレ。

冒頭、トイレットペーパーに青いペンで文章を綴っている。友への別れを述べる弔辞のようだが「君を忘れて、代わりを見つける」など意味深な内容がある。
「わたしはロランス」の序盤での色の話や、楽しみを半減させるリスト、洗濯物をかぶせるなど伏線が引かれていたように、本作も冒頭シーンに伏線がある。グザヴィエ・ドランのことを知っているならば、すぐにピンと来るはず。そう、彼はゲイである。トムは親友ではなく恋人を失ったのだ。このゲイネタを知らないと、確信が持てるまで違和感を覚えることだろう。一緒に観に行った友人も、途中までなんか変だと思っていた。

親友は母に女性の交際相手がいると話していたため、トムがその交際相手とは知らずに接している。が、兄はその真実を知っていた。母のために居ろ!とトムを農場に残るよう詰める。トムは帰りたいと思うが、どういう訳か逃げられずに残ってしまう。なぜなら、代わりが欲しいから。

予告にあるシーンは兄から逃げようとするところだ。しかし、あっさり捕まって脅される。カッターナイフのように鋭い秋のとうもろこし畑を駆けているとき、知らぬ間にスクリーンの上下が狭まっていた。画角が狭くなり緊迫感が増していた。気付かなかったということは、トムと同様に緊迫していたからかもしれない。
画角を狭くする方法は「わたしはロランス」でも見られた。ロランスではシーンを強調する効果として使われていたと思う。スポットライトのように中央の20%くらいを縦に切り取る。ケンカのシーンや、ラストのフレッドが出た路地裏など。
こんな演出を今まで味わったことがなく、気づいた時にはハッとした。いつから狭くなっていたのかわからない。ラストでついにトムが逃げ出すシーンでも、気づくと画面が狭くなっていた。

スリラー演出として音が際立っていた。風の音、畑の葉がすれる音。足音や物音も。実際には気にしない音も耳元で鳴っているかのように誇張されている。一方で、無音もある。その緩急が緊迫感を増している。

終わってみると、しょーもない話ではある。が、ここまでのめり込ませる演出力に驚きを隠せない。一般公開時にはまた観に行きたい作品だ。

2013年11月20日水曜日

21世紀の新しい波 - グザヴィエ・ドラン

1960年代、フランスでは若き映画監督たちが固定概念にとらわれず、試行錯誤して新しい演出・表現方法を生み出し素晴らしい作品を多く生み出した。このムーブメントはヌーヴェルヴァーグ(新しい波)と呼ばれ、マンネリ化していたハリウッドが参考にして70年代のカウンターカルチャーへと繋がっていった。

ヌーヴェルヴァーグから50年が経った今、新しい波を起こしている若き監督がいる。
カナダ出身1984年生まれのグザヴィエ・ドランだ。

わたしはロランス (原題:Laurence Anyways)

1989年モントリオール、35歳のロランス・アリアはトランスジェンダーを告白する。
彼女のフレッドは戸惑いつつも、ロランスを愛しつづけようとする。だが、フレッドはロランスのもとを離れてしまう。ロランスは女性として生きていくも、ずっとフレッドを愛している。フレッドもロランスとの愛を忘れずにいた。
そんな、ロランスとフレッドの10年の愛の物語。

3作目にして168分もの大作。
1回目見たときは形容しがたい気持ちになるも、印象的なシーンが頭から離れずにいた。そして2回目で、その惹かれている理由を確認できた。

----- 以下、内容に触れていきます。

低音が響く不穏な曲の中、女性の格好をした人が街中を歩く。
街の人々はまじまじとした視線を送る中、その人は堂々と歩き霧の中へと消えていく。
ロランスが感じる視線を共有させ、これから起こる試練を覚悟させる。

男女として付き合っていた頃のロランスとフレッドは、幸せに満ちていた。
寝ているフレッドに、ロランスは乾燥機にかけた服をかけてじゃれあう。
2人はリスト作りにもハマっていた。「楽しみを半減させるリスト」を作り、楽しい毎日を送っていた。
また、色の印象を言い合っていた。"黄色"は強いエゴの色。"赤"は怒り、情熱の色。フレッドは叫ぶ「もっと赤を!もっと赤を!」。二人がはしゃぐ車の外に、雨の中"赤い"ドレスを着た人が歩いていく。

ロランスは女性として生きていくことを決意し、フレッドに告白する。真っ青な壁にもたれかかるフレッド。うずくまり理解を求めるロランス。その色彩は、ゴダールの軽蔑のようだ。フレッドはロランスの告白を受け入れ、応援しようと決意する。

少しの休職と休み明け、ロランスは職場の大学へ化粧をしてスカートをはいていった。学生が待つ教室に恥ずかしそうに入り、教壇前に立つロランス。しばらく沈黙が流れたが、女生徒の「8ページ目からですが、代理の先生ではわかりませんでした。」との一言からロランスは自信を得た。HeadmanのMoisture (Headman Club Mix)のビートと歌詞が、彼女の高揚を伝えてくれる。大学の廊下を自信に満ちたロランスが闊歩する。その足元は"黄色"のヒールだ。ロランスの決意した姿を喜ぶ上司に対して彼女は言う「これは革命です」。

89年はまだマイノリティーに対する理解があまりない時代だった。バーにいたロランスに「おい兄ちゃん、変な格好をしているな」と声をかける男に対し、怒って殴りかかってしまう。画面は縦長にスポットされ、"赤い"ライトの中ロランスはケンカをした。

フレッドは女性として生きていくロランスを受け入れようと努力するも、予期せぬ妊娠と中絶により精神的に不安定になっていた。2人で土曜のランチで居た喫茶店でのこと。ブロンドのおばさんがロランスに悪気のない余計なことを言ってくる。
「変わった格好をしているのね」
「女性か男性かみんなで話してたの」
「それは趣味でやっているの?」
ガシャン!と"赤い"髪のフレッドが机を叩き激昂する。
「ババアは黙ってコーヒーをついでろ!」爽快だ。

ロランスと一緒にいることが辛いフレッドは、知人のパーティーへほぼ裸のドレスを着てでかけていく。そこで出会った男性と結婚し、ロランスの元を離れてしまう。
5年後、フレッドは子どもを持ち、幸せそうな家庭を築いていた。寝っ転がる息子に、乾きたての洋服をかけるフレッド。ロランスとの日々を忘れられずにいた。一方、ロランスはフレッドの近くに住んでいて、校正の仕事をしながら詩集を出版していた。その詩集をフレッドに送っていた。
フレッドはいまの家庭を捨ててしまうと分かりつつ、詩集のページをめくる。"黄色い"ブラウスを着ていた。詩集にはロランスからのメッセージがあった。
「白いブロックのひとつをピンクに塗った」
フレッドはメッセージを確かめ、ロランスが近くにいることを知る。今度はフレッドからロランスに手紙を送る。

5年ぶりに会ったロランスとフレッド。昔のように愛し合う。そして2人で行きたかった島へと旅に出る。冬の透き通った青空から色鮮やかな洋服が舞う下で、ロランスとフレッドはキスをしながら歩いている。男女として付き合っていた幸せな日々を思い出しながら。

こんなにも愛し合っている2人だが、求めている愛が違っていた。ロランスは女性として生きる自分を愛して欲しかったが、フレッドは男女の愛を欲していた。2人の愛がどんなに深くても、相入れないのだ。

さらに5年後、フレッドは家族と別れてモントリオールにいた。ロランスもまたモントリオールに戻っていた。久々に会う2人はどこかよそよそしい。ロランスは髪が肩先まで伸びてより女性らしくなっていた。フレッドは髪色が"赤く"なくなっていた。
「いま幸せ?」ロランスが問う。フレッドは「ええ」と返す。つづけてロランスは「私たちはあのまま一緒にいても、終わっていたと思う」と告げる。フレッドは目に涙を浮かべ、トイレへと立つ。ロランスはフレッドを待たずに店を出る。フレッドもまた裏口から立ち去る。裏口を出た袋小路の先に通りがある、枯葉が舞い散る中フレッドは歩き出す。

とある撮影所、フレッドは長身の男に声をかけられる。それがロランスだった。長い物語は2人の出会いで幕を閉じる。
「名前は?」「フレッド。あなたは?」「ロランス・アリア」「アリア?」
「とにかく、ロランスだ」

2013年10月16日水曜日

リリーとピエールの2作品

「凶悪」

「そして父になる」

この2作品にはリリー・フランキーとピエール瀧が出演している。

方々で言われているが、リリー・フランキーはその演技の幅広さにただただ感服する。
凶悪では、保険金詐欺で老人を殺しお金を搾取する凶悪犯。そして父になるでは、子どもとの時間を大切にする電気屋のパパ。

凶悪→そして父になる の順で見たが、この順番によってより楽しめたと思う。
リリー・フランキーが福山雅治に、親子は時間が大事だよって言うときの顔にゾッとする。
法廷で赤ちゃんをすり替えた看護師の旦那がピエール瀧だったときに、ヒィっとなる。
そして父になるが、スリラー映画になるのだ。父はやがて爺になり、彼らに搾取されるんだ!

是枝作品をちゃんと観たことはないけれど、日常のちょっと面白い部分を見せてくれるところは森田芳光監督に似ているところがある。
子役には台本を渡さず、その場で説明して演じさせているそうで、とてもリアルだ。リアルな反応に思わず、フフッと笑ってしまう福山雅治が印象的だった。

凶悪は実録物なので、話が淡々と進む。その単調さが逆に不気味さを増す。
山田孝之がどんどんやつれて、のめり込んでいったラスト。リリー・フランキーとの対峙はゾクゾクする。

この2作品を乱暴にまとめて言うと、地方のパパをなめたらアカン!ってことですねw

2013年9月6日金曜日

衝撃的なDJプレイにて、衝撃的な曲と出会う

9月2日のDOMMUNEで、リンゴ音楽祭なるものが配信されていた。
そこでは掟ポルシェがDJをやっていた。
掟さんのDJは衝撃的だった!
そう!繋ぐなんてことはなかったw
ただ掟さんの気の向くままアイドルの曲をかけていき、DJブースから飛び出して暴れている。
かのPerfumeをメインシーンに押し上げた人物ゆえ、アイドルが本当に大好きなのが伝わり、楽曲としても素晴らしいものばかりだ。

その中でも一際耳に残る曲があった。
「アイドルばかり聞かないで」- Negicco


ピチカート・ファイヴにこんな曲あったような気がするなぁ。と思っていたが、Negiccoの曲だったのか!
アイドルが歌うアイドルばかり聞く男に嫉妬する曲。
その矛盾に満ちた歌詞、小西康陽の渋谷系全開なコード、もう黙っていられない。

あの子とは、デートとか、キッスとか、結婚とか、できないのよ。
ざんねーん

2013年8月6日火曜日

正義の殺人鬼・デクスター

いま読んでいる「雑食映画ガイド」(町山智浩、柳下毅一郎、ギンティ小林 著)の中で映画ガイドにもかかわらずオススメされているアメリカのドラマがある。それが「デクスター」だ。


デクスターはマイアミに暮らす好青年。仕事は警察の鑑識で、血の鑑識を得意とする。ときどき職場にドーナツを持って行き、同僚たちに配ったりしている。
唯一の家族の義理の妹は同じ警察に勤めており、愚痴を聞いてあげたりと仲が良い。夫の性的暴力で傷ついた二児の子を持つ女性と付き合っている。

しかし、デクスターには秘密がある。感情が理解できないこと、そして、抑えきれない殺人衝動があるということ。
デクスターは3歳のときに養子として引き取られた。警察官であった養父はデクスターの殺人衝動に気づき、普通の人間としての振舞い方、完璧な証拠の消し方など、殺人鬼としてバレずに生きる術を教えた。また、ターゲットはどうしようもない悪人であると確証がある人物に限るという掟を与えた。
デクスターは悪人を見つけては、ひっそりとバラバラにして殺す。そして、血を採取してプレパラートで挟んでコレクションしている。

なんという吉良吉影。
感情がないデクスターのジョークがおもしろい。
特に印象的なのが、「どうしてそんなに流血事件に詳しいんだ?」と聞かれ、「好奇心です "Curiosity."」と答えるところだ。
ドラマなのにR15指定。スプラッター描写がリアルで、血のりの量もいっぱいだ。

衝動を抑え普通の人のように振る舞うデクスターだが、とても人間臭く感じる。誰しも社会では自分を偽り演じているのだから、デクスターの違和感に共感できる部分もある。

このドラマはシーズン7まで作られている。さぁ、忙しくなるぞ。

2013年7月23日火曜日

現実と非現実の間で、生きねば

風立ちぬ


2011.3.11の震災以降、現実と非現実の間で2年もの歳月が過ぎた。
そして、これから先もこの間の中で生きていく。
僕たちは生きねばならない。

堀越二郎は震災、第2次世界大戦の時代に生きた。
より美しい飛行機を作ることに没頭するが、飛行機は戦闘機、零戦となって飛んでいった。

夢と現実が交互に表れる。
夢の世界はカプローニの王国であるが、二郎は地獄だと思ったと言う。
現実は厳しく、妻となる菜穂子に出会うも結核であった。
二郎はそれでも仕事に打ち込む。
「男は仕事に打ち込むべきだ。」菜穂子の父の言葉である。

二郎のしゃべり方(庵野さんの声)は、エンジニアそのものである。
人の話を聞いてるのか、聞いてないのかわかんない返答。
そんな不器用な二郎が、愛のことばを妻に言う。
庵野さんが言っていると思うと、おもしろい。

勉強会で盛り上がる設計士たち。
新しい技術を取り入れ、みな一丸となって作り上げていく。
羨ましく思う。

宮崎駿作品の女性はみな強い。菜穂子も然り。
自分が一番美しいときに二郎と過ごし、去っていった。
美しく強い女性をずっと見ていたいのだろうなぁ。

荒井由実の「ひこうき雲」はテーマ曲として、映画をとりまとめている。
空に憧れて、空を駆けてゆく。あの子の命はひこうき雲。

この非現実的な現実の中で、事実を受け止め、
現実的に非現実な夢を追い求め、生きねば。

2013年7月6日土曜日

選挙2を観て

選挙2

本日7月6日公開の想田和弘監督の観察映画第5弾「選挙2」を観てきた。

フライヤーには「山さん、怒りの再出馬。」とあるが、いま本当に怒っているのは想田監督ご本人である。
「選挙」で自民党公認候補として川崎市議選に出馬した山さんこと山内さんが、3.11を受けて独立系完全無所属として2011年4月の川崎市議選に再出馬した選挙を観察した本作。

観察映画はよくあるドキュメンタリーと違い、感じとってほしいことを主張するのではなく、観た人それぞれで考えてほしい。と監督は説明していた。
しかし本作は伝えたいメッセージははっきりあるし、監督の主張が強いものである。
そう、怒っていた。

その一つには、権力による圧力、表現の自由の規制を現政党がしようとしていることだ。
自民党公認候補の方を撮影しているとき、撮らないでくれと言われていた。
そして、その晩に自民党川崎市連から弁護士を通じて「肖像権の侵害にあたるため、撮影をやめ、削除せよ」と抗議があったそうだ。(上映後の舞台挨拶にて監督がそう語っていた。)
しかし、候補者は議員(候補)という公人であり、公の場で活動する選挙をやっているため、肖像権の侵害に当たらない。監督も弁護士に確認し、抗議内容はナンセンスな主張であると判断された。

選挙2の上映にあたっても、問題が起こった。
千代田区からの圧力によって日比谷図書館での上映が一時中止にまで追い込まれた。
日比谷図書館での『選挙』上映が一時中止された件について

そして現政権与党の自民党の憲法改正案には、表現の自由を含む第十三条について次のように変更している。
第十三条 全て国民は、として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない
なお、現憲法の第十三条は以下。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

さらには、創作活動における検閲を禁止している第二十一条第二項はこのようになっている。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認められない。
下は現憲法。
② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
自由民主党憲法改正案より引用 (http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf)

「公益及び公の秩序」とは一体誰が定めるのか?
それは政府でしかない。つまり、政府に逆らうものは認めないと言っているのだ。
想田監督は撮影時と日比谷図書館での件から、このことについて強く訴えていた。


この事実を聞いて驚いたけれど、いま書いていて末恐ろしく感じる。
国民の関心が薄いことをいいことに、政治家が都合の良いよう支配しようとしている。
そう思わざるを得ない。

僕たちに与えられている参政権は投票することだ。だから、まずは、きちんと投票しよう。
そして、もっと政治の話をしよう。

これから日本に生きていくのなら、自分たちが行動するしかないのだから。

2013年7月3日水曜日

監督自身が映画

ロマン・ポランスキー 初めての告白


ロマン・ポランスキーが自分の半生を自身の口から語るドキュメンタリー。

第2次世界大戦を経験したり、妊娠中の妻が殺人にあったり、未成年への性行為事件が30年も拗らせたり…
苦しい経験をしつつも、映画を作り続けている巨匠です。

不勉強ながら、本監督作品はゴーストライター、ナインスゲートしか観たことないのですが、精巧な脚本であり、サスペンスが上手く、完璧だと感じました。
ローズマリーの赤ちゃん、チャイナタウン、戦場のピアニスト、と名作がたくさんあるので、しっかりと観ていきたい。

本作の中でポランスキーが、もし墓場に持っていく映画は?との問いに、「Pianist」と即答していたのが印象的だった。
やはり自身の戦争体験をリアルに描いたといわれる戦場のピアニストは、特別な作品であるのだ。

若い頃のポランスキーを見ていて、誰かに似ているなと思っていたら、サッカーのメッシにそっくりだ。
背の低いところや、童顔なところ、顔そのものも似ている。
なんだかんだいって、顔は大事だな。

2013年6月18日火曜日

Ultra Korea 2013 に行ってきた


動画はUltra Korea 2012のAfter Movie。

ほとんど映画のことしか書いていないので、たまには音楽の話題を。
6/14, 15にソウルで開催されたUltra Korea 2013に行ってきたので、感想を徒然と。

Club Music最大級のフェスUltra Music Festivalは2012年からアジア初としてソウルで開催されたとのこと。
Armin Van Burren, Afrojack, Avicii など世界の一流DJがたくさん出演する2日間のフェスでした。
出演者もヤバイし、人の多さもヤバイ!(2日間で10万人とのこと)
Club Music好きなら一度は行くべきイベントです。

こんなヤバイイベントがなぜ日本で開催されないのか?
理由はいろいろとあるんだと思います。集客、場所、文化...
会場はかなり緩い感じで、ゴミはそこら辺に散らかってるし、仮設トイレは女性用1棟しかない。日本のフェスじゃ苦情出まくりな状況です。
そんなことどうでも良いくらい、音に酔ってしまっている人々。
色んな意味でヤバさしかない。

オススメです!

2013年6月9日日曜日

「秒速5センチメートル」と「言の葉の庭」の感想を書き留める

「新海誠の話すると思うから、みといて」との言葉をきっかけに昨日は新海誠作品とべったりな一日だった。
朝起きてiTunesで「秒速5センチメートル」をレンタルし鑑賞。
昼過ぎに映画館で「言の葉の庭」を鑑賞。
夜は新海誠作品についての考察。
そんな一日だった。

忘れないうちに、僕の感想を書き留めておく。

「秒速5センチメートル」
学生のころに観たときと、いまとでは感じ方が違った。
前は明里ちゃんが遠野くんの一途な気持ちを知ってか知らずか、他の人と結婚した結末に憤っていた。
でも今回見返してみると、遠野くんは連絡を取ってはいたが、気持ちをはっきりと伝えていないことがわかった。遠野くんが一方的に信じていただけだったんだ。
言えるときに、言いたいことをちゃんと伝える。これ大事だなと感じた。

「言の葉の庭」
雪野さんがメンヘラすぎて、あまり共感できなかった。
御苑の入り口に「お酒厳禁」の掲示があるにも関わらず、あずまやへ行くと朝っぱらから金麦を飲む女性がいる。
「こいつ、普通じゃない…」と思わざるをえない。とりあえず可愛いから許そう。
元カレ(同僚で、おそらく既婚者)に頼ってるところもわからん。でも、可愛いから許そう。
ベッドに仰向けで倒れこみ、雪野さんの胸(推定Dカップ)を強調してる画。ありがとう。

今が一番幸せかもしれないと思っていながら、秋月くんから告白されると急に立場を理由に断ってしまう。後悔するとわかっていながら、嘘をつく。
そして、部屋を出て行く秋月くんには何もできずに、そこで泣いてしまう。
彼女の言動でもっとも理解し難かった。
年齢も近いからこそ、少し厳しくみているかもしれない。
最後は思いの丈をちゃんと吐き出したので、良かったなと思えた。


どちらの作品も、話も画も素晴らしく、壮大なミュージックビデオである。
そして、思いを巡らせる余白や共感を生むリアルさを含んでいる。
あーだこーだ言いたくなるのがとても良い。


本題とはずれるけれど、言の葉の庭を観た最後に宮崎駿監督作品「風立ちぬ」の特報があった。
主題歌の荒井由実「ひこうき雲」にのせての特報であったが、「ひこうき雲」がいい曲すぎて言の葉の庭を忘れてしまいそうなくらいに感動した。
公開が楽しみだ。

2013年5月26日日曜日

きっと、うまくいく - 3 idiots


インド映画が熱い!と聞きつつも観てなかった。が、今日初めてのインド映画を体験した。

水道橋博士オススメの「きっと、うまくいく」を観てきた。
インドは今高度経済成長期であり、国策として工科大学をたくさん作った。主役はその大学で出会った親友3人の話。
やっぱ大学の友達はバカやるものです。

上映時間が3時間とインド映画なら当たり前でしょ?って感じで過ぎていった。
ただ脚本が素晴らしく、展開のテンポも良く、笑いと感動が交互に来て、とっても楽しい3時間でした。

冒頭のほうで学長から留年を言い渡され自殺した学生がいた。理系大学では時々聞く話ではある。
成長期で競争が激しいときに圧迫されてってのはあるかもしれないが、今の日本で起こっていることを考えると、先進国であることに疑問を感じる。
この映画から学ぶべきところは大いにあると思った。

期待値を遥かに超える素晴らしい映画だった。インド映画恐るべし!

2013年5月25日土曜日

道民ホイホイ!「探偵はBARにいる2」


北海道の大スター大泉洋主演の「探偵はBARにいる」の第2弾を観て来ました!

2作目ということで、スタッフや出演者の息が合っているような、仲良く楽しく作っているんだろうなぁという雰囲気が全面にでていました!
また、すすきのだけでなく、室蘭もでてきたり、道民ホイホイなシーンが前作よりも多かったです。

冒頭に麻美ゆまが出てきたりとお色気シーンもあって、80年代感がより増していたな。
どうせなら江別市出身の希志あいのや明日花キララを使ってほしかったなぁw

知ってる場所がたくさん出てくるから、どうしても矛盾点に気づいてしまう。
・室蘭から中山峠経由で帰るとき、羊蹄山の近くは通らない。
・狸小路4丁目から地下に降りて大通り方面向かうところは、本来は右側からでてくる。
・開拓の村は車入れない。
などなど。
言い出したらキリがないですが、北海道のいい画を撮ってくれているので、嬉しく思います。

そんな細かいことは良しとしても、小野真千子の関西弁?は違和感ありすぎて関西人怒っちゃうんじゃないかと思います。
バイオリンの練習より関西弁の練習に時間割くべきだったんじゃ…

とはいえ、前作からの出演者も面白く出てきて、第3弾、4弾とシリーズ化に期待したいです!!

2013年5月5日日曜日

L.A. ギャングストーリー

最近映画を観に行ってなかったのですが、これは絶対観ると決めていた作品が表題の「L.A. ギャングストーリー」です!


L.A.で警察ものと言えば、「L.A. コンフィデンシャル」ですね!いわゆるノワール映画。
ギャングストーリーもノワール感が十分に表現されていました。

ショーンペン演じるミッキーコーエンの悪さ。しょっぱなから、シカゴから来たギャングを車で引っ張り真っ二つにしてるところを見せられ、コイツヤヴァイ!と印象づけられる。
また主人公のジョンの正義感の強さや。ライアンゴズヒングのジェリーのテキトーだけど警官としてのプリンシプルがあるところ、カッコイイ!

町山さんが「コンフィデンシャルはビートルズ、ギャングストーリーはアニマルズ」と評していましたが、なんとなく言わんとしてることはわかったと思う。
コンフィデンシャルは正統にノワール映画しているけど、ギャングストーリーはアクションが多くハチャメチャ感があった。

その点からもわかるように、ギャングストーリーはノワール要素が若干不足していた。警察側の腐敗がはっきりとは描かれていなかったからだ。実質冒頭のコーエンの部下を釈放するところだけ。
予告ではバッヂを捨てた警官とうたっているが、実際バッヂは外してるけど捨ててないしー。

とはいえ、銃撃戦が楽しかったり、ライアンゴズリングがかっこよかったり(ドライヴみたいな場面もあり)、面白かったです。


公開2日目にも関わらず、空席が多かったのが気がかり。

2013年4月7日日曜日

Azymuthについて


Azymuthはブラジルのフュージョンバンド。

僕がAzymuthを初めて聞いたのはいつだったか。たしか12歳のころCD-MDコンポが家にあり、FM North WaveのコンピMDでこのJazz Carnivalを聞いたのが初めてだったと思う。
ノリが良くて聞きやすかったが、当時はあまり興味がなく作業用として流していた。

ときは流れ、再びAzymuthを聞いた。
最近、クラブミュージックに興味を持ち始めた中でAzymuthを聞くと、全くもってクラブハウスで流れていてもおかしくないトラックだと思った。
フュージョンのエレクトロニックな要素と、ブラジルのラテンリズムが重なったAzymuthのトラックは30年経っても色褪せていない。

今日タワーレコードへ行ったら、視聴コーナーにこのLight as a featherがあった。
昨年亡くなったAzymuthのキーボード、ベルトラミを追悼しての再発版。ボーナストラックとして、Theo ParrishらのRemixが入っている。
このことからもAzymuthがクラブシーンに与えている影響が大きいことが窺える。

先日行ったStarFesでTheo ParrishがFela KutiのZombieをかけていた。
レアグルーヴやそれ以前であっても、良い音楽は良いものだ。

そんなことを知ってもらう機会を与えられるようになりたいものです。

2013年1月15日火曜日

丁寧なつくりで、何も考えずに楽しめるLOOPER

LOOPER

ジョセフ・ゴードン・レヴィット(ジョー)とブルース・ウィリス(オールドジョー)が共演した、タイムスリップものSFアクション。
ジョセフがブルースを真似た演技がすごいと話題であります。


本作はとても丁寧なつくりで、きっと脚本のお手本はこういうものなんだろうと思うくらい、話がわかりやすかったです。
前半にジョーの生活やLOOPERとしての仕事を通して、タイムスリップの仕組み、TKという超能力の存在、LOOPERを管理している組織、ジョーのジャンキーっぷりなどなどを紹介してくれる。
そして、お待ちかねオールドジョーことブルース・ウィリスが転送されてきてから、ストーリーが展開し出す。

ジョーの絶体絶命シーンから、オールドジョーの話に切り替わる。
オールドジョーが過ごしてきた時間軸を示すことで、彼の目的とタイムスリップの複雑な構造(過去の選択が未来に影響すること)を説明している。

ポイントを丁寧に蒔いてもらっているので、あとはその流れにのってストーリーを進めるだけ。

先が読めてしまっても問題ない、なぜならオールドジョーがカッコいいからだ。
目的のために邁進するオールドジョー、組織の奴らも皆殺し、さすが世界一運のない男。乗り越えてきた修羅場が違うぜ。

ラストのジョーの決断には漢を感じざるを得ない!


さて、近年公開された映画で時間を扱ったSFアクションといえば、ミッション8ミニッツが思い出される。
8ミニッツでは、同時間の世界が幾重にも存在しているという設定であった。
一方、LOOPERは時間軸がひとつのような設定であったが、オールドジョーの生きてきた時間と、ジョーの居る時間は異なる軸であるので、タイムスリップでは同じ軸に戻れないということなのだろう。
8ミニッツも、一度使った世界は二度と使えないものだったので、同じ解釈なのかもしれない。

どちらも楽しめる作品だったので、
今後、これらを上回るタイムスリップSFアクションが作られることを期待したい!


※追記
LOOPERの中で度々出てくる「タイムスリップの話はするな」「複雑すぎる」といったセリフがでてくる。
これはタイムスリップものの不整合性を気にしちゃダメってことなんだろうな。

2013年1月12日土曜日

ご都合主義はアリかナシか

2013年もおよそ2週間が過ぎた中、すでに2本も映画を観ている安定っぷりのNomusonです。
以下の2本を観てきました。(※ネタバレします。)

フランケンウィニー

ルビー・スパークス


どちらも心温まるような展開でした。
そして、ラストがご都合主義な展開でもありました。

フランケンウィニーは、犬のスパーキーが本当に死んだと見せかけて復活。
ルビー・スパークスは、想像の産物であったはずのルビーと再会 (主人公との記憶がなくなってはいるが…)。

主人公が過ちや苦難を乗り越え成長したとき、そこに褒美を与えるべきか否か。
僕個人の考えとしては、否。成長し新たな道を見いだしてほしいと思う。
映画は通過儀礼を疑似体験させてくれるメディアであると言われているが、それに準ずるならばご都合主義であってはならず、リアリティなラストを示してほしい。
恋愛ものとしては、(500)日のサマーの展開はしっくりくる展開だった。
サマーとの別れを乗り越え、オータムと出逢う。元の鞘ではなく、次へと前進する様は希望を与えてくれる。(サマーの方が魅力的といった議論はさておき)

しかしながら、ルビー・スパークスはヒロインのルビーが可愛くて、それだけで満足できた。ヒロインをいかに可愛く映すかが、映画の醍醐味のひとつであろう。
ゴダールがヒロインの女優を愛したように。

平田オリザ曰く、日本語で唯一のフランクな褒め言葉は"かわいい"である。
そう、"かわいい"は正義とは真理!